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カスタマーレビュー依頼の両刃の剣:メリットとデメリットを見極める

この記事ではハーバード・ビジネス・レビューで公開された研究「The Pros and Cons of Soliciting Customer Reviews(カスタマーレビュー依頼のメリットとデメリット。)」の内容をご案内しつつ、デメリットを乗り越えるための戦略について考察いたします。

現代のデジタル時代において、オンラインレビューは消費者が決断する際の重要な要素となっています。ビジネスオーナーやマーケティング担当者であれば、顧客からレビューを積極的に依頼するべきかどうか悩んだことがあるかもしれません。この慣習は一般的であり、約80%の顧客が企業からレビューを依頼された経験があると報告しています。しかし、この手法は常にメリットとなるわけではありません。ここでは、顧客レビューの依頼がビジネスに与える複雑な影響について詳しく見ていきましょう。

オンラインレビューの力

レビュー依頼のメリットとデメリットを深掘りする前に、オンラインレビューがどれだけ影響力を持つのかを理解することが重要です。

1. 消費者行動:驚くべきことに、98%の顧客が購入の前にレビューを確認しています。このデータから、レビューが消費者の意思決定にどれほど重要な役割を果たしているかがわかります。

2. 経済的影響:2021年には、オンラインレビューが世界中でおよそ3兆8,000億ドルの収益に影響を与えたと予測されています。これは、オンライン上の評判を管理することが経済的にいかに重要かを示しています。

3. 情報源としての役割:レビューは、製品やサービスに関する重要な情報源として台頭し、従来のマーケティングメッセージを凌ぐことが多くあります。

このような状況を踏まえて、多くの企業がオンライン上の評判や評価スコアを改善する方法を模索しています。一般的な戦略には以下が含まれます:

– 顧客にレビューを依頼する(通常はメールを通じて)
– 既存のレビューに対応する
– 一部の企業は、自社商品や競合他社の商品に対して偽のレビューを投稿するという不正行為に走ることもあります。

レビュー依頼のジレンマ:実地実験の結果

レビュー依頼の効果を明らかにするために、Leif Brandes氏、David Godes氏、Dina Mayzlin氏らが、大手欧州旅行プラットフォームと共同で包括的な実験を行いました。この研究では、約20万人の顧客を対象に3か月にわたり、レビュー依頼メールが特に平均評価にどのような影響を及ぼすかを調査しました。

主な発見

この実験により、依頼メールを送ることの主な効果として以下の2点が明らかになりました:

1. レビュー数の増加:旅行後最初の4日間に依頼メールを送ることで、全体のレビュー数が8ポイント増加しました。

2. 極端な評価の抑制:非常に高い評価や非常に低い評価の割合が10%減少しました。

「適度な経験」理論

研究者たちは、この結果を説明する興味深い理論を提唱しました。それは、製品やサービスに対して適度な経験しかしていない人は、自発的にレビューを書くことが少ないというものです。なぜなら、その体験が文字通り印象に残らず、「特別に良い」わけでも「ひどい」わけでもないからです。

依頼メールは、レビューを書いていない顧客に後になって送られることが多いため、この「適度な経験」を持つ人々に届く可能性が高くなります。メールがリマインダーとして機能し、そういった「まあまあ」のレビューを書かせるきっかけになると考えられます。

ビジネスへの影響

レビュー依頼の効果を理解することは重要ですが、それがビジネス戦略においてどのような意味を持つのでしょうか?以下に重要なポイントを解説します。

1. 平均化効果

依頼メールは、評価を極端な内容から中間的な内容へと収束させる傾向があります。この効果は、現在の評価状況に応じて異なる影響を与える可能性があります。

高評価の商品:すでに高評価を得ている商品に対し依頼を行うと、適度な評価が増えることで平均評価が下がる場合があります。
低評価の商品:逆に、低評価の商品では適度な評価が増えることで平均評価が上昇する可能性があります。

2. プラットフォームの視点

Booking.comやAmazonなどのオンラインプラットフォームは、ビジネス個々の利益よりもレビュー総数の増加を重視します。これらのプラットフォームにとって、依頼メールはレビュー数を増やすための効果的なツールです。

タイミングの重要性:調査では、旅行後1日目に依頼メールを送信すると、9日目に送信する場合と比べてレビュー数が3ポイント増加しました。この差は、旅行プラットフォームにとって1か月あたりプラス2,000件のレビューとなり、ユーザー生成コンテンツの大幅な増加をもたらします。

3. シンプルなリマインダーの威力

一部の企業では、割引やクーポンなどの金銭的インセンティブを提供してレビューを促していますが、研究では意外な結果が示されました。金銭的インセンティブを伴わない単なるリマインダーメールも、ある程度の効果があり、全体として半分程度の効果が得られることが分かりました。すべての顧客に金銭的報酬を提供することなく、コスト効率よくレビューの数を増やすことができることを意味します。

メリットとデメリットを乗り越えるための戦略

研究結果を踏まえると、レビュー依頼を適切に活用するために以下の戦略が有効です。

1. 現状の把握

レビュー依頼を始める前に、現在の平均評価やレビュー分布を詳細に分析しましょう。極端な評価に偏っているのか、それとも意見が幅広く混在しているのかを理解することで、依頼が平均評価にどのような影響を与えるか予測できます。

2. 目標の明確化

依頼によって何を達成したいのかを明確に定義しましょう。以下のような目標が考えられます:
– レビュー数を単純に増加させる
– 平均評価を改善する
– 顧客から詳細なフィードバックを得る

目標によって依頼のアプローチが変わってくるため、はっきりと意識しておくことが重要です。

3. 適切なタイミングの設定

調査では、依頼メールのタイミングがその効果に大きく左右すると分かりました。業種や製品の性質に応じて、最適なタイミングを試行錯誤しながら見つけることが推奨されます。

4. シンプルさを追求

レビューを獲得するために必ずしも金銭的インセンティブを提供する必要はありません。レビュー書き込みプロセスを顧客にとって簡単で分かりやすいものにすれば、リマインダーだけでも効果を期待できます。

5. 顧客のセグメント分け

すべての顧客に同じ依頼をするのではなく、購入履歴や顧客満足度スコア、過去のコミュニケーションへの反応などで顧客を分けることで、効果的に依頼アプローチを最適化できます。

6. 継続的な調整

依頼の効果をしっかりとモニタリングし、平均評価の変化、レビュー数、レビュー内容やトーンなどを追跡する仕組みを導入しましょう。観察した結果に基づいて戦略を適宜調整してください。

7. 顧客体験に注力する

レビュー依頼はあくまで補助的なツールにすぎません。もっとも効果的にポジティブなレビューを得るための方法は、顧客に優れた体験を提供することです。製品やサービスの品質向上、カスタマーサポートの改善、全体的なユーザビリティの向上などに投資することで、自然な形で高評価を得られるようになります。

8. レビューへの対応を丁寧に

受け取ったレビューに対応することも非常に重要です。ポジティブなレビューには感謝を伝え、ネガティブなレビューには誠実かつ迅速に対応しましょう。これにより、顧客への配慮が感じられ、企業の信頼性と努力が伝わります。

倫理的配慮

レビュー依頼を行う際は、倫理的基準を守ることが不可欠です。以下の点に注意してください:

1. 透明性の確保
レビューをお願いするときは、意図を明確に伝えましょう。顧客を誤解させたり、レビュー内容を操作しようとする行為は避けるべきです。

2. インセンティブは公平に
インセンティブを提供する場合、レビューを書くこと自体に対する報酬であるべきです。「ポジティブなレビューを書いてくれたら報酬を提供する」といった行為は、多くのプラットフォームのポリシー違反となり、結果的に企業イメージを損ねるリスクがあります。

3. プライバシーの尊重
レビュー依頼プロセスがGDPR(一般データ保護規則)などのデータ保護規則に準拠していることを確認してください。顧客情報の取り扱いには特に注意が必要です。

4. ネガティブなフィードバックにも対応
否定的なレビューは改善の機会ととらえましょう。顧客満足度を向上させるためのヒントとして活用し、誠実な姿勢を示します。

結論

カスタマーレビューを依頼するかどうかは、単純な「イエス」または「ノー」で答えられる問題ではありません。研究が示した通り、一長一短のある複雑なテーマです。平均化効果、シンプルなリマインダーの威力、タイミングの重要性といった点を踏まえて、ビジネス目標に合ったレビュー依頼戦略を構築することが大切です。

最終的には、顧客から得たフィードバックを役立てて製品やサービスを向上させ、将来の顧客がより良い判断を下せるようサポートすることが重要です。レビュー依頼を賢く活用すれば、顧客との関係を深めるための強力なツールとなります。

これからも実験を繰り返しながら、顧客ニーズを理解し、目の前の課題に対応していきましょう。そして何より、顧客の期待を常に上回る体験を提供することが、自然にポジティブなレビューを生み出す最善の方法であることを忘れないでください。

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参考: Research: The Pros and Cons of Soliciting Customer Reviews. by Leif Brandes, David Godes, and Dina Mayzlin. March 23, 2023. Harvard Business Review. https://hbr.org/2023/03/research-the-pros-and-cons-of-soliciting-customer-reviews

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